&kiitos

2022/04/03 17:45

浜辺の茶屋から三線の音色が聞こえる。

イノーで水遊びする子供達の小さな手のひらで、真白なサンゴがキラキラ輝く。

まだ観光客も少ない、うりずんの季節。

 

4年前、

自分のルーツが沖縄にあることを知った私は

彼と2人、初めてこの島を訪れた。

甘酸っぱい香りと、湿度の高い空気。

那覇空港にはこれからの旅の計画を立てるワクワクした会話と、

旅の思い出を名残惜しそうに語らう声が交差していた。

 

曽祖父母のお墓は那覇から車で1時間の南城市にあった。

亀甲墓という大きなお墓には小さな入り口があって、

故人はそこから胎内に戻るといわれている。

綺麗に手入れされたそのお墓には、季節の花がたむけられていた。

この場所に初めて来たのに、何故かとても懐かしい。

母の手の中に抱かれているような、そんな心地よい安らぎを感じた。

 

墓地を後にした私達は、ニライカナイ橋を下り、

知念半島の沖合にあるコマカ島という小さな無人島を訪れた。

ボートに乗り、島に近づくに連れ、あまりにも透明なエメラルドグリーンの海に息を飲む。

サラサラと白い砂浜を裸足で歩いていくと「神の島」と呼ばれる久高島が見えてきた。

そこはとても神聖な空間だった。

やがて満天の星空が2人を包み込む。

彼の長い手が流れ星の欠片を掴むと、それは私の薬指で瞬いた。

そしてこの夜、私は双子の天使の命を宿した。

 

それから何度かの季節のページをめくり、

私たちは春になると、大好きなこの島を訪れるようになった。

今日も優しい南風が吹く。

無邪気に波と追いかけっこする、

2人の愛しい天使を思わず両手で抱きしめる。

私達を選んでくれてありがとう。

そして命を授けてくれたこの島に、

心からの感謝を。

 

風待 栞


 

童神〜ヤマトグチ〜  作詞:古謝美佐子 作曲:佐原一哉

 

天からの恵み 受けてこの地球ほし

生まれたる我が子 祈り込め育て

イラヨーヘイ イラヨーホイ イラヨー かな思産子うみなしぐゎ

泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー 太陽てぃだの光受けて

ゆういりよーや ヘイヨー ヘイヨー 健やかに育て