&kiitos

2022/07/01 21:43


フクギ並木のトンネルを抜けると目の前にビーチが広がり、

伊江島タッチューを一望できる。

 

今日も私は三線を弾く。

キジムナーがガジュマルの枝に腰掛け、自慢の笛でリードする。

チントゥンテントゥン テントゥルルン

 

オジィは観光客に自転車を貸して、お小遣いを稼ぐ。

その柔和な言葉の真似をして、学生たちが大笑いする。

キジムナーがウインクすると、3羽のヤンバルクイナが森の奥へと消えて行った。

チントゥンテントゥン テントゥルルン 

 

今日も私は三線を弾く。

キジムナーが笛を吹くと、落ち葉の三板も踊り出す。

チントゥンテントゥン テントゥルルン 

 

「三線を教えてもらえませんか?」

旅の青年が声をかける。

キジムナーが嬉しそうに手招きする。

チントゥンテントゥン テントゥルルン 

 

旅の間、青年は毎日、ここで三線と戯れた。

キジムナーが流れ星のウインドチャイムをキラキラと奏でる。

ブーゲンビリアが、私の頬を赤く染める。

チントゥンテントゥン テントゥルルン 

 

お別れの日、彼は私に「約束」というプレゼントをくれた。

キジムナーの姿はもう、見えなくなった。

 

夕陽が沈むビーチに立ち、東に帰る飛行機をいつまでも見送った。

海からの初夏の風に、解いた髪がなびいた。


風待 栞

 

 

彩(あや)   作詞・作曲 森田智子

 

藍色ぬ空ぬ 月あかり美らさ 

里想い心 星とぅなりてぃ

 

赤花や髪に 星砂や胸に

子守唄 肝に 想い乗してぃ

 

青空に架きゅる 虹橋ゆ渡てぃ

紡ぐ恋ぬ唄 届きたぼり